図書室ではお静かに~甘い声は唇で塞いで~【完】
沈黙が流れる。
あたりから聞こえるのはページをめくる音や、文字を書く音、それから衣擦れと音や、椅子の動く音。
静寂が支配していても聞こえてくる音は様々。
「蓮くん?」
蓮はその声にはっとして顔を上げる。
美優のその顔は少し哀しそうに見えた。
「まだ、なにか怒ってる?」
蓮は怒っている筈もなく、ただ「いや」と短く返した。
美優は近づいて蓮の顔をのぞき込む。
「ほんと?」
─もうムリ!─
蓮はそのまま理性を手放し、美優を抱きしめた。
「れ、蓮く」
「いいよな?」
美優の言葉を阻んで言う。
もう、返事は聞かなかった。
蓮はそのまま唇を重ねた。
今度は食いつくように激しいキス。
舌を滑り込ませると、腕にしがみついた美優の手に力が入った。
食い込むほどに・・・・。
「・・・・・っぁ・・・んっ・・・れ、んっ・・・」
漏れる吐息とキスの音が、静寂の上に降り注ぐ。
美優の手は次第に力を失う。
誰に聞かれても
誰に見られても構わなかった。
ただ、自分のものにしたい。
それだけ――。