図書室ではお静かに~甘い声は唇で塞いで~【完】
「あいつ、持ってんのかな?」
考えるのは彼女のこと。
携帯なんて今時高校生の必需品。
でも、美優が持っているのを見たことはない。
「普通は持ってるよな?」
また振動する携帯。
勿論、相手は新。
蓮は面倒そうに携帯を耳に当てる。
「行かねぇって言ってんだろ?」
感情そのままに口にする。
「頼むって!マジ可愛いからさ」
食い下がる新に蓮は何も言わない。
「いつもんトコにいるからさぁ」
新の後ろは騒がしかった。
大音響の音楽、ざわめく雰囲気。
場所は分かった。
だから、蓮は大きくため息をついた。
「今回だけな?」
その台詞に新は「さんきゅ」と短く返し電話を切った。