図書室ではお静かに~甘い声は唇で塞いで~【完】
「蓮くんって言うんだ」
ヒロキの隣の彼女が口を開けば、彼の顔が少し歪んで彼女を見る。
蓮はそれに気づき、極上の笑顔を彼女に向ける。
「名前は?教えて?」
彼女は少し、頬を赤らめた。
「二宮ひな」
その反応は蓮のチャレンジャー精神みたいなものを奮い立たせる。
「ひな、ね?」
蓮は自分の腕に絡んでいるそれを解き、ひなの前に一歩進む。
「俺と上でダーツでもしない?教えて上げるから」
「しない」
即答したのはヒロキ。
「おれ、ひなに聞いてんだけど?」
蓮は笑顔を崩さずひなに問いかける。
ひなは困ったようにヒロキを見上げた。
「っつーか、なんで呼び捨て?」
ヒロキの顔が不機嫌に歪む。
「ちゃん自己紹介して貰ったけど?」
蓮は余裕の笑みでヒロキに言い返した。
いつもと違うヒロキの態度に蓮は優越感すら感じた。
今まで、劣等感しか得られなかった男から。