図書室ではお静かに~甘い声は唇で塞いで~【完】
ヒロキは少しびっくりした顔をして、すぐに意地の悪い微笑を浮かべた。
「へぇ?あれとか言わねーよな?」
ヒロキはさっきまで蓮にくっついていた女の方を見た。
「なわけねーじゃん」
蓮は吐き捨てるように言った。
「見てみたいな」
カチンっと閉じるジッポの音。
「見せねーよ」
「いーや、連れてこい!」
後ろからトモが口を挟んだ。
「お兄ちゃんは心配なんだよ!」
トモは笑いながら後ろから蓮の肩に腕を置いた。
「そうそう、取ったりしねーから」
ヒロキがクスクス笑いながらひなの肩を抱いた。
「出来ねーから、絶対」
蓮はそう言い切るとひなに向いた。
この余裕だらけの男に一糸報いたかった。
「こいつに飽きたら、いつでも俺が相手になるから」
そして、極上の笑顔をひなに向けた。
ひなの頬が少し赤くなるのを確認して、蓮はヒロキを見た。
その顔は蓮の見たことのない顔で・・・・・・。
噴出す蓮に遅れてトモも笑った。
「あははっ、ヒロキ、お前の負け」
ヒロキが小さく舌打ちをした。
それを確認して、蓮は階段を駆け上がった。
「蓮くん?」
後ろから声を掛けられたけど、蓮は振り返らなかった。
向かう場所は決まっていたから。