図書室ではお静かに~甘い声は唇で塞いで~【完】
「もってるよ」
美優は当たり前でしょ?と言わんばかりの言葉に蓮は足を止めた。
手を繋いだままの美優はそれに気づき蓮を見上げる。
「教えて」
蓮の台詞に美優は笑顔で答える。
「今、持ってないけど、言うからそれに登録して?」
美優が蓮の左手を指さした。
「番号が、090-…‥で、アドレスが…‥」
慣れない左手が携帯を操作する。
「ちょ、ちょっと、まって、えっと――」
焦る蓮を美優は笑う。
「登録っと」
登録完了と表示された液晶を蓮は満足げに眺めた。
「あとで俺のケーバンとメアド送るから絶対登録な?」
念を押す蓮に美優はクスクス笑って頷いた。