図書室ではお静かに~甘い声は唇で塞いで~【完】
蓮は慌てるように美優から目を背けた。
「美優は、どこ受験すんの?」
気を紛らわすための台詞。
「第一志望は総合中央大」
近くにある大学だった。
と、同時にあいつも通っていることを思い出し蓮は顔を歪めた。
「推薦枠も貰えて、来月試験なの」
「えっ、わっ、ごめん、俺そんなの知らなくて…邪魔してるよな?」
驚く蓮を美優は見上げて首を振った。
「ううん。試験って言っても論文だし、後は面接だけなの」
美優は手の中にあるココアを一口含んだ。
「もう、あたしの成績はもう送られてて、勉強しても仕方ないのに、落ち着かなくて…」
美優の声が消え入りそうなほど小さい。