図書室ではお静かに~甘い声は唇で塞いで~【完】
「ま、見かけたら声かけて
」
そう言うと、ヒロキは時計を見て「トモ、時間」と、短く告げた。
「ん?あぁ、じゃまたな、蓮。美優ちゃんも」
トモはそう言うと、レシートをヒロキに渡した。
ヒロキはそれを受け取ると、ひらひらともてあそび、意地悪な笑顔を見せた。
「お兄ちゃんのおごりな?」
蓮はヒロキの手にあるそれを奪い取ろうと手を伸ばすが、スイっと逃げられた。
「あーもう、ムカつく!」
なんで、あいつなのかと思う。
蓮は美優に向き直った。
「大学行って、あいつにあっても絶対声かけんなよ!」
ムキになって言うものだから、美優は笑ってしまった。
「美優!」
蓮が顔を赤くして叫ぶ。
美優は「分かったよ」と笑いながら言った。