恋がしたくて…
パパは 今だって、私が泣き出せば 受け止めてくれるだろう。
そりゃぁ、恋人時代のように、優しく、髪を撫でながらー。
って訳にはいかないだろうけれども(苦笑)
少なくとも、佐々木さんよりは 真剣に 私の事を 考えてくれるだろう。

でもそれは 愛なのか?
私の事を 愛しているからなのか?

……。
求められる夜も少なくなった今じゃ、悲しいけれど、そうとも思えない。

ならなぜ?
そんなパパに対してなのに、なんの根拠をもって、「パパは私の事を真剣に考えてくれるはずだ」などと、言い切れるんだろう。

エレベーターで、覆い被さるようにして、激しくキスをしてきた 佐々木さんを思い出す。

今 思えば。
誰も居なかったエレベーターの中は、佐々木さんにとっては 絶好のチャンスだったんだ。

そして 佐々木さんは、そのチャンスを逃さなかった。

佐々木さんは、私を求める為に、一瞬にして 豹変してくれたんだ。

彼なら…。
その先も 私を 激しく求めてくれるだろう。
女としての あたしを。
きっと 激しく…。

パパには ない 情熱をもって…。
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