恋がしたくて…
いつもの色
その日は 一日。

その後は、なるべく 佐々木さんを見ないようにした。


見てたまるか!


でも そんな風に 思えば 思う程、
佐々木さんを 意識している証拠。

結局は ピントをあわせないだけで、視界の隅で佐々木さんを追ってる私。

佐々木さんが こちらを見ている気がして、
何度か 勇気を出して ピントをあわせる。

でも 結局。

一度も 目があう事はなかった。


佐々木さん…。
あのメールは なんだったの?


夕方に向けて 腹立たしい気持ちが 寂しさに変わり、
ついには 後悔という名の、恥ずかしさに 変わってしまった。


あんなメール するんじゃなかった。
やっぱり バカかと 思われてたんだ。


と…。

朝一番に 化粧直しをしたきり、
もういつも通りに、化粧を直す事もなく
定時をむかえた。

いつもの 風景だ。

今朝 電車から見た あの川にも、
明日には もう 感動できなくなってるのかな…。

クリアになった世界の色は、あっという間に 色あせた。


冴えてた感覚が 鈍っていく。

私の 五感が なまってく。
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