恋がしたくて…
しばらくは 戦争のような日々だった。
仕事ができるとか
できないとかではなく。

とにかく 時間との戦い。

子供を保育園に送り出して 職場に向かい、慣れない仕事にオロオロしているうちに 定時がくる。

帰り道のスーパーで、 じっくり食材を見ている余裕はない。
いいから 急げ!
お迎えタイムまで あと少し!

いつしか私は 働き始めた 動機も忘れていた。

家事と仕事の両立は、想像以上に難しく、時間に追われて夜更かしが続く。
朝はいつもギリギリまで寝ていたから。

朝の化粧も

服装も。

もうどうでもいい。

とにかく急げ!
遅刻する!!


それが 毎朝の風景だった。


ところがある日。


私の心に『風』が通った。


よどんだ空気が充満する満員電車の中。誰かが窓をあけてくれたかのように。

私の顔を スッと なでる風は 心地よく。
額の汗が かわいていくのを感じるように。

あなたとの出逢いは あまりにも 自然で。

あなたはごくごく自然に、私の中に入ってきたよね。


そして 私の中の 大切な何かが、

また 動き始めたんだ。

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