恋がしたくて…
「でもそれは、 仕方ない事ですよ。母親が しっかりしなきゃ、子供は 育てられないもの!家族全体の事を思っていたからこそ、奥様は たくましくなっていったんですよ。」

佐々木さんの顔が 一瞬、悲しげに 曇ったのが 分かった。


その瞬間、後悔する私…。


あたしって、なんて 嫌な人間なんだろう。
佐々木さんが 恥もがいぶんもなく、せっかく 正直に、気持ちを打ち明けてくれてたのに。
その気持ちを 分かってあげようともせずに…。

私が今、した事といったら、自分の言い訳じゃないか。

奥様を 思いやったような、
優しい人のようなふりだけして…。


結局は、自分が パパにしてきた事の言い訳を、佐々木さんにしてるだけなんじゃないの?


自分が醜い。

私は いつだって、自分の事ばかりだ。
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