戦国千恋花
知らなければ
よかった。
―…知らないで
今までどうり信頼していればよかった?
聴かなければ
よかった。
―…聴かないで
ただの出来事として
今日の事を忘れていけばよかった?
だから、もう、
なにも信じないよ。
心から信頼していたものに
裏切られる痛みを
知ったから。
――…もう、
この時から
狂い始めていたのかもしれない。
壊れ始めていたのかもしれない。
私自身も気付かない、
深い、奥の奥で
―…私の心は。
瞳を開く少し前、
私の頬に
優しい温もりが触れていた。
安心した。
安らいだ。
瞳を開けたとき、
私の頬にあった温もりは静かに流れる涙と共に
消えていた。
その涙は、
哀しい
冷たいものではなかった
昔感じた、揺らぐことのない安らぎを含んだ
優しい安堵の涙だった。
その涙は、止まることを知らず
ただただ
私の着物の袖を濡らした。
―…。
何かの気配がした。
誰だろう。
だが、確かめる事は
しない。
いや、出来なかった。
とめどなく流れる涙を止めようとするが、
どうしてもだめだ。
もはや、顔も上げられなくなっていた。
よかった。
―…知らないで
今までどうり信頼していればよかった?
聴かなければ
よかった。
―…聴かないで
ただの出来事として
今日の事を忘れていけばよかった?
だから、もう、
なにも信じないよ。
心から信頼していたものに
裏切られる痛みを
知ったから。
――…もう、
この時から
狂い始めていたのかもしれない。
壊れ始めていたのかもしれない。
私自身も気付かない、
深い、奥の奥で
―…私の心は。
瞳を開く少し前、
私の頬に
優しい温もりが触れていた。
安心した。
安らいだ。
瞳を開けたとき、
私の頬にあった温もりは静かに流れる涙と共に
消えていた。
その涙は、
哀しい
冷たいものではなかった
昔感じた、揺らぐことのない安らぎを含んだ
優しい安堵の涙だった。
その涙は、止まることを知らず
ただただ
私の着物の袖を濡らした。
―…。
何かの気配がした。
誰だろう。
だが、確かめる事は
しない。
いや、出来なかった。
とめどなく流れる涙を止めようとするが、
どうしてもだめだ。
もはや、顔も上げられなくなっていた。