戦国千恋花

目が醒めたとき、私は泣いていた。

だけど、独りじゃなかった。

傍にいたのは、眠る前に見たあの人。


「平気か……?」

私の様子を伺うように、その人は
そっと聞いてきた。

「…っ………。」
やはり声は出ない。


先程の夢の印象が強すぎて、起きたあとも鮮明に思い浮かぶ……。

急に寒気が襲ってきた。


あの、泣いていた女の子……

死んでしまった男の子……


どうして……?
何が起こっているの……?

ここは何処なの……
私のいるべき場所は……



いろいろな疑問が生まれては消えて、

私の頭の中はパンクしそうだった。


寒い――。

震えがとまらない。


怖い――……!!



不意に、温もりが私を包んだ。


「……大丈夫。大丈夫だから。」

未だ名前も知らない、この優しい人は

私を包んでいる。



頭の中を巡っていた疑問が、止まった。


今はただ、この暖かさに身を委ねよう――。


そうして私は、やっと落ち着くことができた。






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