戦国千恋花
朝ご飯を作っても、
食卓で食べるのは私だけ
もう独りは慣れた。
むしろ、楽なくらいだ。
父さんはとっくに家にいないし、

母さんは私が出た後に帰って来て、

私が帰る頃には出る。

それでも、ご飯は食べているみたいで安心している。


本当はこんな大変な仕事辞めてほしい。

でも、母さんは疲れた体を引きずって仕事に行く。

わかってる。
私の為だってことは。

だからこそ言えないんだ。

いつも、
「ごめん」を込めて家事をしてる。

ごめんね、母さん。


こんな毎日が日常だった。

こうやって、私の日々は過ぎていくはずだった。

―…なのに、私の運命は大きく変化した。

それは、
想像もできない世界での、短く、
そして深く、儚い日々だった。
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