戦国千恋花
少年は激しく咳込み、

彼の掌はみるみる鮮血で染まっていく。

私は怖くて、どうすることもできない。

私が震えていると、

少年は弱々しく掌を額にあて、紅い布をとり、

私に差し出した。


「た…のむ…、
幸 村…様に…。」

彼は確かにそう言い、

私はゆっくりと、布を受け取った。


すると彼は儚げに微笑み、再び天を仰いだ。

蒼い空の一点を見つめ、瞳に涙をためながら、

小さな、掠れた声で

「しづ…ごめん…な…。」
と呟いた。

言い終えるか言い終えないかの間に、
瞳から涙が零れた。


そして、彼は息絶えた。
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