桜の咲く頃 ~君に~
「家ないとかありえないから。」
ほんとのこと言えよ。っていわれても
ほんとのことなんて言えない。
私の肩にするりと傘が掛けられる。
高校生は私の正面に立って顔を覗き込ませる。
「ん?言ってみ?」
そんな甘くいわれったって…。
「大丈夫だよ?」
そう言いながら私に向かって手を伸ばす。
そっと頭に触れられて雨で濡れた髪をすくう。
久しぶりに人に触られた気がした。
でも
全く嫌じゃなかった。
むしろ
もっと触ってほしかった。
1瞬だけど、
安心できた気がした。
この人になら打ち明けてもいい…。
とか思っていたり…