桜の咲く頃 ~君に~


「ありえなくないもん…。」


あぁ…


言っちゃった。


「なんで?」


彼は驚くこともせず微笑んで頭をなでてくれる。


「捨てられたから…。」


とめようと思っても


どんどん口が開いて彼に打ち明けてしまう。


「親御さんに?」


「…ん。」


あんなのを親なんて呼べそうにないけど…。


私の唯一の肉親なんだ…。


「これ…親御さんが?」


首筋の傷跡をなぞられる。


「ん…。」


「そっか。」


虐待の痕。


カッターで殺されかけた時だとおもう。



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