桜の咲く頃 ~君に~
電話相手、名瀬裕紀はあたしに失敗させたくないんだろう。
足を引っ張っているわけではないがあたしのせいでバンドの人気がグラついているのは確かだ。
だからなお更あたしを練習に参加させたいんだろう。
「ソノが出るときなぜかチケットバカ売れするんだから。自分の人気自覚しろよ。」
ん。
まぁ嘘ではないけど事実でもない。
たまたま売れるだけだ。
でもまぁ暇だし。
「んじゃ、行く。てゅーか゛ソノ〝って呼ばないで。」
嫌い。
名前なんて無ければいいのに。
「ょし。じゃぁいつものスタジオに9:50集合な。」
「わかった。」