桜の咲く頃 ~君に~
部屋に近づくにつれて聞きなれた音が大きくなる。
来る前は乗り気じゃなかったのに自然と足取りが軽くなる。
NO.8と書かれた部屋のドアを開けると音が止まった。
「おっ来たじゃん。」
「遅せーし、」
「いいじゃん、30分くらい。来ただけ多めに見てやれよ。」
「はぁ?いつも来ないのが間違ってんだよ。」
いつもと変わらない空気に少しホッとする。
「ソノちゃん、声出る?」
「ソノって呼ばないで。声なんて出してみないとわかんないし」