涙の宝器~異空間前編

オガミ山。


もう四年も間を空けてしまっている。
この瞬間も変わらずに存在しているだろう。



【頂上へ】


最初は走っていたが、山の色彩を目に焼き付けたくなり歩くことにした。


「変わらないなー。
変わったのは俺の方かぁ」


空気が心地いい。
ずっと東京にいたからわからない自然エネルギー。
今の俺は一人ぼっち。
俺の後ろポケットに入ってる財布。

今日はまだ一度も見ていない。


ここ六年間、依存症のようにパートナーだったケータイが今はもうない。
< 101 / 449 >

この作品をシェア

pagetop