涙の宝器~異空間前編
オガミ山。
もう四年も間を空けてしまっている。
この瞬間も変わらずに存在しているだろう。
【頂上へ】
最初は走っていたが、山の色彩を目に焼き付けたくなり歩くことにした。
「変わらないなー。
変わったのは俺の方かぁ」
空気が心地いい。
ずっと東京にいたからわからない自然エネルギー。
今の俺は一人ぼっち。
俺の後ろポケットに入ってる財布。
今日はまだ一度も見ていない。
ここ六年間、依存症のようにパートナーだったケータイが今はもうない。