涙の宝器~異空間前編
そう、ただ昔の状況に戻っただけ。

あんなに依存していたケータイをこんなにあっさりと手放せている。
もうそんなものの必要性すら分からなくなっていた。

鳥の鳴き声が山々を響き渡る。
その中で俺は笑みが止まらない。
最後の山登りを心から楽しんでいる。

俺はもう家族以外の誰にも会うつもりはない。
気持ちのブレを起こさないためにも。
そうして、ようやく中間地点に到着。

実家の畑はこの中間地点に繋がっている。
ここから道が二つに別れている。
右に進むと公園。
左に進むと展望台。
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