涙の宝器~異空間前編
スタート地点に辿り着く。
他のメンバーは俺を視界に入れるまいと、それぞれが集中していた。
走る前にこんな姿を見ればそれはモチベーションが下がるだろう。
しかし、それは俺だって同じだ。
誰も見ない。
何も見ない。
聞くんだあの音を。
一分が過ぎた。
会場内に響き渡るBGM。
それはついにスタートを迎えることを意味していた。
もうこの世の音ではない音が飛びまくっていた。
「それでは皆さん!!!
準備はいいですか?!」
…………………