涙の宝器~異空間前編




歩く事さえままならない中で、どうしてここまで走れたのか自分でも不思議なぐらいだ。




俺はいま一人、あってはならない敗北を迎えようとしていた。




体が熱い。


苦しい。


恐怖感が俺の体を蝕(むしば)む。



汗が傷口を刺激するせいで痙攣するようにあちこち痛かった。








会場の歓声は凄まじいほどのボリューム。




生と死の間で様々な記憶が蘇る……
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