涙の宝器~異空間前編
次の瞬間。
ミコはその一瞬を突いて一方的に涼と唇を重ねる。

「何すんだよ」

あってはならないアクシデント。
そして、それは最悪の展開をも映しあげた。

「フフ、あれが彼女?」

振り返る先には麻衣の姿があった。
それは同時に二人のこれまでが潰えた瞬間となる。

とっさにミコを突き放す。

「麻衣違う、あいつが勝手に」

気の動転は弁解を黙殺し、その真実は闇へと潜り混む。

願いも虚しく、麻衣は目元を拭いながら走り去ってしまった。
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