涙の宝器~異空間前編
また右の草むらから誰かが出てきた!
その二人は両親だった。
父さんは何かに耐えているように見えた。
一方で、母さんは鼻と口に両手を押さえ付けて泣いている。
「父ちゃん!!!
母ちゃん!!!」
俺は窓を叩きながら叫んだ!
そして心の中で謝った。
若すぎる死が、親にどれだけの悲しみを背負わせるのか………
育ててくれてありがとう。
「ありがと〜!!!」
俺の声は聞こえたのだろうか?
座り込む母さんを父さんが支えている。
やがて二人の姿も小さくなり見えなくなった。