涙の宝器~異空間前編
やはり忘れられていた。
「この前お金拾って届けましたよね?」
「………あぁ〜!あの時はどうもありがとうございました」
「いえ」
「…………」
沈黙が流れる。
「よかったらLINEしませんか?」
思い切って振ってみる。
軽い男に見られてしまっただろうか。
「あぁ〜」
「暇な時だけしてくれたらいいんで」
「ん〜わかりました」
平常心を保ちながらID交換した。
「ありがとうございます。それじゃ!」
「はい」
田中麻衣。
これが彼女の名前だった。