涙の宝器~異空間前編
【待ち合わせ当日】

待ち合わせ時間は午後五時。
涼は先に着いてベンチに座り込んでいた。
やがてナナを抱っこした麻衣がやってきた。

「どうも!」

「待たせちゃってごめんなさい」

「俺も来たばっかですよ」

「そっかぁ」

「どうぞ」

ハンカチを敷いて、麻衣を椅子に座らせた。

「やっぱ言ってた通りでナナ可愛いですね」

「でしょ?」

麻衣の腕でくつろいでいるナナを、彼女から受け取り抱っこした。
犬種はミニチュアダックス。

涼もミニチュアダックスは一番好きだった。
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