涙の宝器~異空間前編
午後十時三十分。

死ぬ思いで涼は電話をかけた。
息を殺してそれを待った。

ついに電話は繋がった。

「麻衣?ちゃんと話すから。かなり誤解してる」

「そうかもね」

「今どこ?」

「二人が初めて一緒に夜景を見た所」

すぐにその場所を思い出す。

「そこにいるんだな?どこにも行かないでそこで待ってて。すぐ行くから」

電話を切ると同時に激走した。
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