涙の宝器~異空間前編
全てが他とは遅れていた。

門限はなく遅く帰っても何も言われることもなかった。
俺の部屋は二階にあって、自由な位置を確立していた。

古い一軒家だから音は響くものの、小さい頃から住み慣れているから不満はなかった。
近隣関係も持てず、完全に孤立状態。

お盆や正月に誰も家に来ることはなかった。
こんな習慣になってしまっている事は問題なの?

もう俺には分からない。
ただ家族が生きていくだけで精一杯だった。
春夏秋冬。

何も状況が変わる事はなかった。
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