空と海の狭間で
悲しいことがあった時、空は私の代わりにに泣いてくれる。
雨は空の涙だから。
だから嫌いではないのかもしれない。
うつ向いて地面に落ちる空の涙……私の心の涙を見つめていると
男がブランコから下りて、いつのまにか私の視界に足が見えるほど近くにいた。
「…家に来ない?風邪ひくし、雨宿りがてら、来る??」
頭の上から降ってくるその声に私はふるふると首を振った。
すると男は「そっか」と言ってその人の車らしきモノに向かって歩いて行った。
帰るのか。
再びうつ向いてじっと地面を見つめていると
ザクザクという土を踏みしめる音がして、それから一瞬で雨がやんだ。
驚いて顔をあげると、さっきの男が片手に傘を持ち、それを私の頭上に傾けながら笑っていた。
「寒いんじゃない?」
もう片方の手に持っている毛布にチラッと目線を送ってから、男は私にフワリとそれをかけた。
車の中にあったからか、温かいそれが私の肩をぬくめていくのが分かる。
初めて感じる温かいぬくもりに、正直私はとまどった。
「いいよ。それ、使わないから濡れても構わないし。」
私の気持ちを察したかのように、男が呟いてそれから彼は私に傘を押し付けるとゆっくりブランコに座った。