空と海の狭間で









―――…
―…―――――



あれからしばらく。


一向に動こうとしない男に青い傘を持ち同じ場所につったっている私。


もう真夜中であろう時間帯の、街灯が1つだけしかない真っ暗な公園に、男女の影が2つ。


異様に離れてお互いボーっとしている様子はさぞ奇妙なことだろう。


しばらくしてから男がふと口を開いた。



「もう夜中の1時だ…。」


黙って顔を上げた私の顔をブランコから見つめる男。


フイと顔を反らして沈黙を再会すると男がゆっくり近づいてきた。


うつ向き気味の私の目に、男の雨に濡れた裾が映った。


そうだ。


私が傘を返さないと帰れないんだ。


顔を上げて彼に傘をつきだし、もう冷たくなってしまった毛布も彼に渡した。


すると、彼は少し眉を下げてこう言った。



「一緒に来てくれる?何もしないって約束するから。」



私がイヤだと答えるのが目に見えていたのか「でないと帰れない」と呟く男。


グイッと突き返す傘は相変わらず二人の間で役目を果たさずにいる。


勢いを増す雨に傘を取り払われた毛布は私の腕の中でだんだん水分を含んでいく。


そこでやっと決心した私。



「行きます。」



そう一言呟いた。



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