お伽話をキミに。
《従兄は狼》
俺が次に彼女と話すチャンスを得ることが出来たのは、あの出会いから3日後のことだった。
それまでも何度か校内で見かけることはあったが(彼女のクラスは一番端の教室だった)、話し掛けるなんてことは出来なくて。
決意とは裏腹に、彼女を見るだけで血が逆流したごとく顔が熱くなってしまう俺。
凝視するだけして話し掛けることが出来ない俺を見て、郁が再三溜息を吐いたのは言うまでもない。
そんな俺に巡ってきた予期せぬチャンス。
まさか…こんなことになるなんて…
龍ちゃんに感謝しなきゃ……っ!
始まりは遡ること30分前──…