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まだ生まれて間もないのだろうか。

鳴き声も、表情も、大人の猫とは全然違う。

保護欲を掻き立てられる、危なっかしくも可愛らしい動き。

「えーっと…待てよ待てよ」

美代ちゃんは鞄の中から、ゴソゴソとお菓子を出す。

学校にお菓子を持ってきているというのが色々謎だけど、この際それはどうでもいい。

「これ、食べるかな?」

小さなお菓子を指で摘んで、猫を誘うようにヒラヒラさせてやる。

まだ警戒心少ない仔猫は、それだけでフラフラと美代ちゃんに近づく。

そしてお菓子ではなく、美代ちゃんの指先を舐めた。

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