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「保健室には行ったか?」

「ううん、まだ…」

痛そうに顔をしかめる美園。

あれじゃあ歩くのも辛そうだ。

「…仕方ないな」

俺は美園の前に背中を向けてしゃがむ。

「ん」

「え?」

キョトンとした美園の顔を、俺は肩越しに見る。

「おんぶ。保健室まで連れてってやるよ」

「え!いいよ!歩けるよ!」

少し赤くなって慌てる美園。

だけど俺はしゃがんだまま動かない。

しばらくして…。

「重かったら…ごめんね?」

恐縮そうに、美園は俺の背中に身を預けた。

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