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「てめっ、若菜きたねぇぞ!」

千草の後塵を拝する形で怒鳴る俺。

「べーだ!私は千草ちゃんの味方だもんね!」

俺の抗議など無視して、若菜は千草の流星号を加速させる。

「くそっ!おい慎平!お前も俺の自転車押せよ!」

振り向いて叫ぶものの。

「む、無理だよっ…ぜぇっ…はぁっ…!」

慎平は俺と千草の鞄を持って、最後尾をヨタヨタ走っている。

元々体力のない慎平だ。

全速力で走る俺の自転車に追いつける筈もない。

こうなったら何とか自力で千草をぶっちぎるしかない。

俺も立ち漕ぎに切り替え、下り坂を利用して一気に加速しようとするが。

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