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そんな時だった。

…どこから来たのだろう。

一匹の三毛猫が、トテトテとバス停にやってきた。

飼い猫なのか、野良猫なのか。

私と瑞樹ちゃんがいても、全く警戒する様子がない。

飼い猫なのかもしれない。

三毛猫は私達の視線を浴びても、こちらを一瞥する事すらなく澄ました顔で歩いてくる。

そして前足をヒョイと伸ばして。

「あ」

ベンチに置いてある女性週刊誌。

その中の一冊を爪で引っ掻き、地面に落とした。

バサリと落ちる週刊誌。

その開いたページを、三毛猫は食い入るように見つめる。

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