colors
ボールを必死に追いかけて、別の選手に倒されても、体当たりされても、あなたはひたむきにボールに食らいつこうとする。

怪我も、泥まみれになる事も厭わず、ボールだけを見つめている。

あの頃は、そこまであなたに必死になってもらえるサッカーボールに嫉妬さえしたものだ。

どうしたら、私もあんな風に見つめてもらえるんだろう。

どうしたら、私もああして追いかけてもらえるんだろう。

そんな事を思いながら、追いかけるのはいつも私の方だったね。

あなたはボールばかりを追いかけて、私の事なんてちっとも気づかない。

ボールと私とあなた。

今思えば、滑稽な三角関係。

一人笑いがこみ上げてくる。

< 142 / 209 >

この作品をシェア

pagetop