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そんな思い出に浸っていると。

「真由美、ごめんな、遅くなって」

11番の背番号をつけたあなたが、フェンス越しに歩み寄ってくる。

「練習終わるまでいつも待たせちゃって…悪い」

「いいの」

笑顔で私は応える。

あなたを待つひと時。

あの頃の胸の苦しさは、もう彼方の出来事に変わっていた。







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