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「……」

「……」

座ってからの二人は、沈黙。

まるで会話らしい会話はない。

隠れて様子を窺っている私と絵里も、何だかソワソワしてしまう。

「で…千夏ちゃん、何か用があって俺を呼び出したんだろう?」

無言の空気に耐えかねたのか、話を切り出したのは篠崎先輩。

おおっ、いよいよか?

思わず身を乗り出す私と絵里。

なのに。

「だ、だんだん風が冷たくなってきましたね!もう秋ですねー」

千夏はまるで本題とは関係ない話をし始める。

ガクッと前のめりに倒れそうになる私達。

何やってんのよ千夏!

季節の話題から入るなんて、あんた近所のおばちゃんかー!

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