colors
ガタンゴトン。

夕暮れの電車は、規則正しいリズムで揺れる。

私だってクリスマスイヴに、夢みたいなひと時を過ごしてみたい。

その為には、どこかで勇気を振り絞らなければならないのだ。

面と向かって告白なんて怖くて出来ない。

メアドも電話番号も知らない。

だったら…。

私は鞄の中に忍ばせていた、綺麗にラッピングされたクリスマスプレゼントを取り出す。

手紙を添えたプレゼント。

これなら渡すだけで、私の気持ちを伝える事が出来る。

だけど、渡すだけでも正面からなんて出来ない。

どこまでも臆病者な私。

だから、アイツがウトウトと眠りの世界に誘われつつある今が、一世一代のチャンスなのだ。

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