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ガタンゴトン。

夕暮れの電車は、規則正しいリズムで揺れる。

その揺れに僅かによろめきながら、私はゆっくりとアイツの座る席に近づく。

気づかれてはいけない。

そぉっと、そぉっと。

プレゼントを傍らに置いたら、全速力で離脱。

忍び足で、気づかれないように近づく。

後から考えてみれば、何故気づかれてはいけないのだろうと首を傾げたりもしたが。

この際今はどうでもいい。

息を殺し、胸の高鳴りが周囲に聞こえてしまわないかどうか心配しながら。

慎重に、細心の注意を払って。

私はプレゼントを彼の傍らに置こうとして。

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