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と。

「義理じゃないよ」

「あん?」

顔を上げ、梓を見る。

…相変わらず視線を逸らしたままの梓。

その横顔が、夕陽のせいではないのが一目瞭然なくらい、真っ赤に染まっていた。

「義理じゃないよっ」

俺の机に小さな箱を置き、彼女は猛ダッシュで教室を出て行く。

え…あれ…?

手元の小さな箱と梓の後ろ姿を見比べながら、俺はポカンとしていた。






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