colors
卒業式が終わり、別れを惜しむかのように二人で校舎を歩く。

本当はね、もっと早くこうしたかった。

二人で学校生活を送りたかった。

朝、待ち合わせて二人で学校行ったり、二人で下校したりしたかったな…。

そんな事を話したかったんだけど、後藤君は相変わらず無言のまま歩いている。

卒業と同時にこの街を離れる後藤君。

卒業したら、もう会えなくなってしまう。

だから…。

だから彼は、敢えてはっきりした答えはくれないのかもしれない。

私の告白にイエスともノーとも言わず、私を傷つけないようにこの街を離れようとしているのかもしれない。

それが彼なりの優しさ。

そう思っていた。

< 194 / 209 >

この作品をシェア

pagetop