強さと弱さと君と僕。
「同じ感じ?」
「どんなんか、って聞かれたら答えられないけど・・・」
チャイムが鳴り響き、美紅が立ち上がる。
「あんたの事は、あたしが守ってやるから。安心しな」
「あたしこれでも、正義の味方だから!」
・・・その言葉を信じてもいいの?
涙が少し目に溜まって、鼻がツンとした。
「何泣いてんの!?ほら、行くよ?」
「・・・うん!」
あの時の美紅の言葉に、あたしは素直に頷いた。
嘘か本当かも見分けがつかない世界で、あの時一番信じられた言葉。
信じるとか信じないとか、正直どうでも良かったけど、信じていたかった。
それくらい信じれる自分で居たかった。
誰でも、過去を思い出すことがあるから。
高校に入って数ヶ月。
夏休み直前になって、あたしは友達が出来た。
それは、暖かくて、でも同じ傷を負っている人。
「ねー?繭には好きな人とか居んの?」
ゆっくりのんびり教室に戻ろうとしている。
「え?急に聞く?」
「やっぱり、朝電車に乗ってた人?」
その瞬間、頭に彼の顔が浮かんだ。
「んー・・・よくわかんないなぁ」
「何それぇ?アタックアタック!」
「美紅、馬鹿みたい!」
そんなことを話しているうちに、教室に着いた。
意外な組み合わせとでも思ってるんだろうか?
教室のほぼ全員があたしたちを見ている。
美紅が咳払いをして、
「よし、言うか」と言った。
「あたしの友達の、まーゆ!
よろしくねー!仲良くしてあげてー!」
「・・・ちょっ、美紅!?」
「いいから、大丈夫♪」