強さと弱さと君と僕。

クラスの女子たちからの視線が痛い。
「繭になんかしたら、あたしが許さないから」
美紅が言っていることは、ほぼ覚えていない。
自分の教室は勿論、他のクラスにも聞こえているような声だった。

「ふー、スッキリ♪」
そう言って、美紅はそそくさと教室を出た。
それにあたしも続く。
「次はどこ行くのー?」
「あんたの好きな人見つけに行く!何組!?」
「え・・ちょっ・・・」

「だぁかぁら!何組?」
「・・・・隣のクラスです・・」
搾り出すように言った声に、ちゃんと反応したよう。
「休み時間だけど・・大丈夫かなぁ?」
教室を見回す美紅。あたしは小さく隠れている。
「あ、あれじゃね?ほらっ」
「指っ!指さしちゃだめっ」
指さす方向には、確かに彼が居た。
クラスの男子と話している。

「へ〜、あいつかぁ!」
「もー帰ろうよー」
腕を引っ張ろうとしたとき、教室から誰かが出てきた。
「おお、美紅」
その人はいつも美紅と一緒に電車に乗っている人だった。

「・・・優樹」
声に振り返って、美紅とその人が話す。
「何?誰かに用なの?」
「んー!この子ね、繭っていうんだけど繭がホラ!あの人のこと好きみたいなの」
「あたし、まだ好きとかそう言うんじゃ・・・」
「へー、あ、この子見たことある。今日電車乗ってたよな?和と」
「そーそーそー!そのカズとか言う人!ねー繭?」
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