レンズ越しのあい
5月
「満里奈おはよ!!」
小学校の時から一緒にいる『七海』が、ドアを勢いよく開いた。
「おはよう七海、今日も遅刻寸前だね」
「今日はセーフ……聞いてよ満里奈、あたし朝マスカラ消えててさぁ」
「探してたら遅くなったの?」
七海の朝の遅刻の言い訳なんて聞き慣れてる。
(今日は遅刻してないけど)
「当たり、さっすが満里奈!だてに10年連んで――」
「――あ」
バコッといういい音がした。
「いっ……!?」
あたしからはその人が――、七海を名簿で殴った人が見える。
七海には見えてないけど、予想は付いてるだろう。
「……ひ、ヒドくない!?先生!!」
「さっさと席付け遅刻魔」
「今日遅刻してないじゃん!!」
「席付かないと遅刻にすんぞバカ」
「バカ言わないでよ!!」