レンズ越しのあい
「こういう時にさ、娘でも一人の人間であって、自然と気持ちをわかってあげられるわけじゃないんだなって、実感するよ」
なにを伝えたいの……?
「親ですらダメなんだもん。友達だってそうだよね」
……わかってるんだ。
七海となにかあったんだって察してるんだ。
「一人で抱え込んでほしくないけど、アンタの場合はそうもいかないだろうしね。……ゆっくりでいいから、言葉で表わしなさい」
「……」
言葉……私が苦手な、言葉……。
「まとまりがなくてもいい。とりあえず言葉にして、それから繋がればいい」
言葉に、すること……。
「どんなに対立したって、その繋がりが本物なら、離れることなんて出来ないんだから、信じてるなら何も心配いらないよ」
お母さんの言葉に、また涙があふれた。