レンズ越しのあい


この繋がりが、本物なら……。

もちろん、本物だと思ってる。


あたしたちの過ごしてきた時間は、普 通の友達よりも確実に長くて、その絆 は固いと思ってる。

それでも……それでも不安で怖いの は、あたしがひどく臆病だから。


怖いけど、それでも七海と向き合って いきたい。

黙ってるばかりじゃ、ずっと平行線の ままな気がする。


言葉にすること……七海への気持ち も、柏原くんへの気持ちも、そろそろ 打ち明けるべきなんじゃないか。

……そう思った。


「早く元気出してリビング来なさい」


そう言うとお母さんはドアの方まで 行って。


「スイカ、買ってきてあるから食べ よ」


そう言った。

ちょっとだけ時期より早いけど、そう いう母に自然と笑みがこぼれた。
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