レンズ越しのあい
過去の自分を恨んだとしても、それを 予想して仕組んだのは、それが必要な ことだったから。
向き合わなくちゃいけない。
今のままじゃ、たぶんお互いにとって も良くない。
一つ、深呼吸をする。
また一つ、深呼吸をする。
怖い、足がすくむ。
勇気が無さ過ぎる。
親友に話すのに。
……ううん、大切な人に話すからこ そ、こんなにも緊張するものなのかも しれない。
自分を何も知らない人に話すのは、そ んなに勇気のいるものじゃない。
さらっと話せてしまう気がする。
でも、相手は親友で、内容はお互いが 好きな人。 信じたくないような現実。
――もう、ヤダ。
逃げたいよ。
「満里奈、帰ろ?」
……あぁ、ついにこの時が来てしまっ た。