レンズ越しのあい
え……本当……?
「おいで、桜庭」
そう言って笑った、柏原くん。
「あ……う、うん」
恥ずかしい……。
ゆっくりと、柏原くんのところへと向かう。
一歩、また一歩近付くにつれて、心臓も加速する。
「桜庭のカメラでいい?」
「あ、う、うん……」
そう言って、カメラを渡した。
「もっと寄って」
自然と肩に回された手で、引き寄せられる。
カッと熱が顔に集まる。
これはしかたないこと。
寄らなくちゃ、ちゃんと2人写らない。
わかってる。
わかってるけど、恥ずかしい!